夫婦のコミュニケーション。

 今は二十三時を少し回ったところです。「ヤツ」がそこまで来ていて、たまに風速三十メートルくらい(体感)の風が吹いています。その中をかまめし屋まで行ってビールを二杯飲んできました。別にビールが呑みたくて行ったのではなく、半年年上の「はとこ(親同士がいとこ)」に呼ばれたので行ったのですが、実はそのはとこの親父さんが、夕べから脳梗塞で入院していたのです、幸いに症状が軽く、発見が早かったため今日はもう帰宅したそうです。

 はとこの親父さんは去年の区長でもあり、この前の祭りまでの一年間いろいろとお世話になっていました。もともとバイタリティのある人で、体格がガッチリしているわけではありませんが、病気とは対極にいるような人です。その親父さんが脳梗塞とはちょっと信じられませんでした。異変を感じたのは奥さんで、おとといの夕食のころ、年金について話をしていて「明日XX信金に行かなくちゃね」というと、親父さんは「なぜ、○○信金じゃないんだ?」と怒鳴ったそうです。○○信金とは親父さんが四年前まで支店長として勤めていて定年退職した銀行であり、その後、XX銀行に吸収合併されたのですが、それを知らないような調子で怒鳴るのを見て息子、つまり私のはとこを呼んだそうです。そして様子を見るためにいろいろな話題を振ってみるものの、ほとんど会話が成立しない状況となり、救急車で病院に向かったそうです。病院で診察を受けている間にもろれつが回らなくなるなど症状の悪化が見られ、これはちょっと厄介なことになるな、長期のリハビリも必要だな、と家族も覚悟を決めたそうです。

 MRI検査の結果、血管の破裂は無かったため、血流を良くして血栓を取り除く薬を点滴し、親父さんは一晩を病院で明かし、家族はいったん帰宅したそうです。そして翌朝また病院を訪れたところ、まったく普通の親父さんがそこに居たそうです。ただし、この間の日曜日からの記憶はまったく無い状態だったそうです。思い起こせば日曜日に孫、つまり、はとこの子供の野球の試合を観戦したそうですが、その時から普段とは行動が違っていたそうです。

 今は帰宅して普通の状態だそうで私も一安心ですが、それにしても、普段から会話のある夫婦であり親子だったからこそ、早期に異変に気付けて大事に至らなかったのだと思います。そうでなければ、一見したところは普通の状態ですから、倒れるまで気付かなかったかもしれませんし、その時では手遅れになった可能性もあります。結果的に、親父さんが今普通の状態でいられるのは、家族のコミュニケーションの勝利だったのではないかと思いました。