佐原秋の大祭。

 先週末に佐原の秋の大祭を見に行きました。朝から小さな台風みたいな空模様でしたが、お昼過ぎに出発して途中で腹ごしらえしながら現地に到着した頃には曇り空ながら天気も安定してきました。市街地が交通規制のため思うように車を止められず、十分ほど市街地の周囲をぐるぐる回ってみると隙間という隙間にびっちりと路上駐車されていたので、すまぬすまぬと思いつつ市街地の中心にある学校の来賓用駐車場に止めました。

 車から降りると佐原囃子の軽快な音色が風に乗って聞こえてきました。その音をたぐるように歩き進むと佐原といえばココ!という小野川に出ました。小野川沿いでは年番三町による手踊りがまさに始まらんとしているというグッドタイミングであり、競い合うように三台の山車からお囃子が鳴り始め息のあった手踊りが披露されました。お囃子の演奏会などではひとつの囃子連(下座連)が演奏しますが、お祭り本番ではあちこちからいくつものお囃子が聞こえてきます。これが本当に良いカンジですね。そして同じ曲でも囃子連の独自アレンジにより全く同じではないところも、こだわりが感じられます。佐原囃子は山車の動きに合わせて次々と曲が変わっていくことが特徴のヒトツですが、本物を眼にし耳にしたら前進に鳥肌が立ちました。そして傍らで一緒に見ていた女房と興奮気味にそんな話をしながら盛り上がってしまいました。

 手踊りに続いては少し場所を移動して「のの字回し」が披露されました。のの字回しとは山車を最小の円でぐるぐる回すことです。のの字回しの時にも囃子はそれを盛り上げるように演奏を続けます。のの字回しが完成すると周囲からは大きな拍手がわき起こります。非常によい雰囲気の祭だなぁと思いました。

 自分もお囃子をやっているので分かるのですが、佐原の下座連は日頃から相当な練習を積んでいると思います。山車という狭い空間で演奏し続けることは体力的にも大変ですから、日頃から笛を吹き込む、太鼓や鼓をたたき込むという訓練をしていなければとても保ちません。加えて山車の動きとの連動は祭本番でなければ合わせることが出来ないはずですから、長年の鍛錬の積み重ねが今年のお祭りにあらわれているのだと思います。色々な面で準備や練習の積み重ねの上に成り立っているのが佐原のお祭りだと改めて実感しました。いやぁすごい。

 のの字回しを見終えて車に戻る途中で焼き蛤を買って食べました。店先で焼きたての蛤は甘めのタレが良く合って美味でした。