一億総監督。

 オリンピックの競技結果に対する論評は書かないように意識してきましたが、野球については一番思い入れのある競技でもあるので書かずにはいられませんので書いておきます。

 オーストラリアとの準決勝、この一試合に象徴されていたのは、国際試合に対する準備不足だと思います。まずはストライクゾーン。オーストラリアの先発ピッチャーは長身から投げ降ろす球道、変化球のキレ、緩急のうまさなど好投をしていましたが、それ以外にストライクゾーンを味方に付けていたように思いました。日本よりも高めと外角が広いと言われる国際ゾーンにあって、この試合では特に外角低めのストライクゾーンが広かったように思います。そこに遅めのカーブを投げ込み、日本のバッターが自信を持って見送った球がストライクと判定されたことで、日本のバッターの感覚が狂ってしまったように思います。また、思い入れの深さの部分でシドニーで苦杯をなめた選手以外は、浅かったのだと思います。水泳や柔道、体操などはオリンピックを強く意識して長年強化に努めてきた結果が見事に結実したのに対して、野球はプロのみの構成という新機軸を打ち出したものの、1球団2人までというへんな制限をしたために、理想のチーム編成ができませんでしたし、ギリギリまでペナントレースを戦っていたので気持ち的にも体力的にもベストコンディションではなかったと思います。また、日本代表チームとしての合同練習の時間、試合数も足りなかったでしょう。結果、戦略的にも、例えば昨日の試合なら4回まで無得点という時点で反対方向へのバッティングや球種の絞り込みを徹底すべきだったのにできなかったのを見ても、中畑監督代行も選手を信じると言う部分と一流選手への遠慮が同居してしまったように見えました。

 というわけで、今回の状況で死力を尽くしたチームや選手に罵声を浴びせる気もありません。そして、オリンピックはこれで終わりではありません。次の北京までもう4年しかないのですから、今回の反省を活かして、国際的に強い代表チームを作って欲しいと思います。そのために、日本プロ野球機構は、井の中の蛙的論理を捨て、国際的に通用する組織になって欲しいと思います。オリンピックイヤー以外でも常に代表チームを編成し、そのチームで日米野球等に望んで欲しいものです。私はそう言うチームを、そして選手を応援します。