なにしたいの?

 毎週木曜日にシステム開発の定例打合せがあるので、毎週水曜日に向けて資料作成等の締切に追われている昨今ですが、金曜日は気が抜けて仕事とは違う方向に頭が働き気味になります。そして本日もそういう感じです。

 ということでPDAの話。

 PDAって何ができるの?という前に、何かがしたくてたどり着いたのがPDAだったのです。私の場合は。で、何がしたかったのかって思い起こしてみると、最初はパソコン通信でした。具体的にはNIFTY-Serveのフォーラムにいつでもどこからでも接続したい、というのがPDAへの道の原点でした。

 その目的のために買った最初のPDAがアクセスザウルスこと、パソコン通信機能を搭載したZaurus PI-5000でした。PI-5000ではパソコン通信のほか、データベースカードを買ってデータベースシステムの構築もしました。遊びですけど。

 しかしPI-5000は本格的にNIFTY-Serveを利用するには役不足であり、次に目に付いたのが世界最小のWindowsパソコン、IBM ThinkPad 220でした。既に発売開始から時間が経っていて性能的にも最新機種からは見劣りする時期でしたが、これを確か19万円位で買ったと記憶しています。その後に\49,800とか\39,800とかで出回った時にはガッカリしましたが、おかげで、今の仲間ができたと思えば、ありがとう、T-ZONE!とも思えます。220にはWindows 95を入れ、NIFTERMを使ってNIFTY-Serveに入り浸りました。8MBのRAMを6.8万円で増設したり、BIOS騙しツールを駆使して大容量810MB!(メモリぢゃないヨ!)のHDDを入れたり、仲間にクロックアップ手術をしてもらったり、充電可能なニッケル水素電池ケースを自作したりと、できることは全てやってきました。パソコン通信に関しては当時の決定版的環境でもありましたし、おかげで、ネットワークコミュニケーションの楽しさを知り、また難しさも知りました。そう言う意味で220は、私のコンピュータとネットワークコミュニケーションのキャリアの中で非常に重要な時期を共に過ごした愛機と言えます。今220は自宅で静かに眠っていますが、電源を入れると、一生懸命にOS/2 Warp 4とWindows 95を起動してくれます。ちなみにブートマネージャ(懐かしいぃ!)使っています。

 220に引導を渡したのが東芝から発売されたLibretto 20でした。VHSビデオサイズ、Windows 95プレインストール、リチウムイオンバッテリーによる長時間駆動などなど、220が見た夢のほとんど全てを実現しているスペックを目にして、気がおかしくなるほど欲しくて欲しくてたまらない魅力を感じました。Libretto 20の発売はゴールデンウィークで、発売当日に近所のラオックスに行き、本体、FDD、大容量バッテリー、12MB増設メモリを買い込みました。このメモリがバカ高く、その後数ヶ月後にはサードパーティから格安のメモリが出て、ガックリしたのを今でも鮮明に覚えています。そしてLibrettoといえば「裏切り!」です。Libretto 20のディスクは2.5インチ、8.5mm厚でしたが、アンダーカバーをプラカッターで切り抜けば、当時大容量化が先行していた10mm厚、12mm厚のハードディスクが入ったのです。のちにサードパーティから厚底なアンダーカバーも発売されたりして、もはやノートPCのディスク換装は当たり前のふつーなことになりました。そして大容量ディスクを搭載したミニノートPCは、どこにでも気軽にデータを持ち運ぶ、というスタイルを生み出しました。また、Librettoといえば、NIFTY-ServeのFTOSHIBAでのユーザ交流が盛んだったことも思い出されます。ユーザによるFAQ作成や、初心者に優しい会議室作りなど、楽しくて実用的なコミュニティーだったと思います。

 PDAでやることに話を戻しますが、Libretto 20を使っている頃まで、私はPIMを電子管理しようという考えがありませんでした。興味本位で試す程度のことはしましたけど。たとえばLotus OrganizerをLibrettoに入れたりとか。しかし実用上はシステム手帳を使っていました。また最近紙の手帳が楽しいですが、システム手帳のリフィルとか、書き込んだモノをあとから眺めたりするのが好きなんです。しかし、実用性の面でその考えを一変させられたのがHP 200LXとの出会いでした。当時の仲間から格安で譲り受け、達人的仲間たちのイイなりになって日本語化したのですが、最初は、まぁ、持っておくか、程度だったものの、試しに入力しだしたスケジュールや客先での打合せメモなどの、使い勝手と感覚が何だかミョーに気持ちよく、毎日毎日とにかく入力するようになっていきました。すぐに会議ではその場で入力する使い方になり、スケジュールの確認も200LXだけでするようになりました。何なんだろうか、この気持ち良さは? 今考えても決定的な理由は見つかりませんが、きっと全体のバランスが良かったと言うことなのだと思います。

 PIMの電子管理に目覚めた私は、パソコン通信とPIMを一台で!という志向になっていきました。200LXでそれをしている人は多くいましたが、残念ながら200LXの通信の部分は私の好みではありませんでした。また、Windowsのように通信しながら他のこともすることができなかったのも200LXをPIMマシン以上に使えなかった理由です。そんな中で登場したのがWindows CE搭載Handheld PCでした。日本ではカシオから発売されたCASSIOPEIA A-50/A-51が初代になります。私はこれも発売日にヨドバシカメラに行って上位機種のA-51を買い、その足で運転免許の更新に行ったのを覚えています。待ち時間の間、免許センターのロビーのいすに座っていじり回していました。しかし、この機種は簡単に言えば製品の質に達していないほど遅く、使い物になりませんでした。そしてすぐに高速化された後継機A-51Vが発売されたので、これにも飛びつきました。速さは多少まともになったものの、簡単にハングアップ&記憶喪失になり、これも使い物にはなりませんでした。そしてWindows CEが1.0から2.0にバージョンアップされ、A-51V向けにアップデートサービスが提供されました。CE2.0が入ったA-51Vはようやくまともに使えるものになり、しばらくはOyajin Appointment、QMailとのコンビで活躍してくれました。そして時代は、CE搭載Handheld PCの黄金期を迎えます。

 カシオのほか、NEC、シャープ、日立、hp、富士通IBMなどから続々とHandheld PCが発売されました。この頃はネット上のコミュニティーでもCEの話題で盛り上がっていました。そしてオンラインソフトが活発にリリースされ、多くのCE対応製品も発売されました。この間、私はシャープのテリオスや、hpのLXシリーズ、jornadaシリーズを使っていましたが、Pocket WZ Editorという強力なソフトウェアのおかげで、毎日持ち歩くのはHandheld PCだけで済むようになりました。PIMは使い勝手よりもPCとの同期を優先してOutlookを使いましたが、ユーザインターフェースとしてはROSEという素晴らしいソフトウェアを使いました。この段階でネットワークの利用とPIMの電子管理という、私の求めた二大要件は見事、一台のPDAでまかなえるようになっていました。

 しかし人間の欲は果てしないもので、できるようになったことはその時点で当たり前のことになってしまい、新たな要望が浮かんできます。それが「PCのドキュメントをいつでも閲覧したいし、できれば作成、更新もしたい。」というものでした。この課題は今日でも完全に解決されておらず試行錯誤を続けていますが、CLIE TH55、UX50、sigmarion IIIなどを組み合わせることである程度達成されています。PCドキュメントを具体的に挙げると、私の場合はMicorsoftのExcel、Wordと、ディクレのアイデアプロセッサIdeaTree、AdobeAcrobatなどが主です。Officeドキュメントが使えることを宣伝文句にしているPDAPDA向けソフトウェアはたくさんありますが、総合的にはDocument To Go 6が一番優れていると思います。このソフトはPalm向けなので、CLIEで使っています。そして入力にはキーボードが必須ですから、自ずと使える機種はUX50に限られます。UX50もバランスの良いマシンですが、もう少し画面が大きくて解像度が高いとさらに便利ですね。Zaurus SL-C860Palm OS 5が載ってくれても理想的です。あるいは、sigmarion IIIに、Excelに対するSheet CEくらい良くできた、Word対応アプリが提供されても嬉しいことです。しかし、どれもうまくはいかないものですね。

 そういうわけでつらつらと書いてきましたが、私がPDAで一台でまかないたいことは、PIMの管理、ネットワーク(今はパソコン通信よりもWebとメール)利用、PCドキュメントの活用の三つです。ハードウェア的にはキーボードは必須であり無ければお話にもなりませんし、各社ケータイが使えるアダプタやケーブル類も必須です。バッテリーのもちも重要ですね。無線LANもあれば使います。動画を見るとか音楽を聴くというのは、興味本位でやってみたい程度のことで、PDAで実用しようとは思いません。そういう方面は専用機のほうが良いです。また、デジカメもPDAに内蔵する必要はありません。そんな要求を満たしてくれるPDAが出ないものかと、常に期待しています。もっとも期待しているのはCLIE UX50の後継機ですが、現実的にはZaurus SL-C860の後継機のほうが出る可能性は高いかも知れません。まぁ、そのいずれでもなくても、目的を達することができそうなPDAが出れば使ってみたいと思います。