やもめ。

 土曜日の夜、そういえばはじめて、一人でかまめし屋さんに行きました。それまでは必ず女房か仲間と一緒に行っていましたから、一人ということはありませんでした。この日はどうしてもお酒(日本酒)が呑みたくて夕方からそれを言っており、たまたま用事があって夕食の後に女房の実家に行くことになったので、そこで呑もうと期待していたのですが、どうもそういう流れじゃなかったので用事が済んだらさっさと帰ってきてしまいました。そして女房も子供も寝てしまい…。冷蔵庫からとっておきの黒龍を取り出して呑もうと思ったのですが、思い直して冷蔵庫にしまい、一人かまめし屋さんに向かったのでした。なんかへんなドキドキ感がありましたね。なんだろう?

 もう十一時半を回っていたので、かまめし屋さんにはだれもお客がおらず、大将としばらく差しで飲みました。最初はビール。二杯目はコップで冷や酒。燗を付けるかどうか悩みましたが、嗜好で冷やにしました。お通しのカレイの刺身に良くあって美味かった。

 午前零時を回った頃、一人のお客が入ってきました。久しぶり似合う高野ちゃんでした。高野ちゃんは水産業を営んでいて、いわゆる活魚屋さんと料理屋さんを開いています。独特の語り口で日常のありふれた話題を全て漫才に変えてしまう天才で、その話を聞きながら楽しく呑むことができたのはラッキーでした。ちなみに今日の御題は「朝鮮産のアサリ(深川丼じゃなくて朝鮮丼だろ!)」「BOSSババァ(三十路過ぎの息子に毎日BOSSを買っていく少し変わったおばあさん)」「女房とは六年間一緒に寝てない!」の三本でした。

 気付けば午前二時過ぎ。高野ちゃんも眠たそうだったけど、サービス精神が旺盛だから私が帰らないと高野ちゃんも帰れないんです。ということで先にお愛想して帰りました。いやぁ、出だしは寂しい独り呑みでしたが、結果的にはすごく楽しいひとときでした。