W-ZERO3実用性私的評価。

 ある記念誌に掲載する原稿のデータ起こしを頼まれたので、手元にあったW-ZERO3で入力してみました。使ったアプリはPhatNotesです。実用性のポイントはキーボードの入力性能、日本語入力の精度、入力文字の取りこぼし、画面描写速度などです。結論として総合的な実用性には満足しました。入力し終えた文章をメールに貼り付けて依頼主に転送しましたが、一連の作業がW-ZERO3だけで完結できたのは感心しました。これなら会議録程度の文章入力でも実用的です。(レイアウト作成はWindowsのアプリに任せますが。)

 次にメール。アプリはQMail3を使っています。基本的な機能(閲覧・返信・新規作成・振り分け…)は安定性を含めて概ね良好です。唯一にして最大の懸案は通信速度。これはW-ZERO3の責任ではありませんが、ほとんどの場合はPHS回線ですからウィルコムが提供している「純正」サービスを利用している以上「W-ZERO3の通信速度は遅い」と言わざるを得ません。もちろん通信が無線LANなら速いです。

 そしてWeb。先日の一泊二日出張においては、JR東日本えきねっとでの指定券予約はできましたが、SonyStyleでのVAIO Type U発注はJavaScriptエラーで完了できませんでした。だからまだType Uを買えていないのですが、買えなかったことは吉だったようです。

 W-ZERO3は全体的にアプリがフリーズしたのかと思うような場面が散見され、たまに起動中のアプリ(だいたいQMail3)がいなくなったりします。また午前0時に勝手に電源が入るなど意図しない挙動もあります。以前のPocket PCに比べれば実用性が向上しましたが、すでに実用レベルの機器(携帯電話やノートPCなど)と比べると完成度はまだ低いと感じます。

 W-ZERO3を使うに当たり私的最大懸案事項は運用コストです。毎月4千円程度の出費はけっして軽くなく、自分の通信頻度を考えると通信回線の契約はせず、必要なときにケータイ等と接続した方がトータルコストが抑えられそうです。これもType Uに乗り換えようかと考える要素のひとつです。

 自分はW-ZERO3のような機器が好きなので代替機が見つかるまでは使いますが、コレが理想的とは全く思いません。少し前にSL-ZaurusWindows Mobileが搭載されれば…と考えていたのでW-ZERO3はその具現化とも言えるのですが、SL-Zaurusのほうが安定性や体感的な処理速度は勝っていますし、キーボードの使い勝手も上です。試しにSL-Zaurusの筐体のままWindows Mobileを搭載してみたらどうかとも思います。

 できるだけ客観的に見ると、通信機能を内蔵した(ある程度)高機能な通信端末としては、価格も考慮して良くできていると思います。Webもニュース等の閲覧が主なら問題ありませんし、プッシュ型メールは使ってみて分かる便利さがあります。ですから自分の用途にフィットしているならこれほどお買い得な端末はないかもしれません。使い心地は「七徳ナイフ」「十徳ナイフ」のようであり、色々できて便利とも言えるし、どの機能も中途半端とも言えます。決してけなしているのではなく、普段持ち歩くのにXX徳ナイフは重宝しますから、同じ感覚でW-ZERO3は重宝しています。